零弐壱蜂

[CSS] 日本語における`<em>`のイタリック表現と圏点(傍点)について

はじめに

HTMLの<em>要素は強調を示すためのタグである。しかし、日本語環境で単にイタリック体を適用すると可読性が低下し、文化的慣習にもそぐわない。

<em>タグの意図

<em>はテキストの語句に感情的・論理的な強調を付与するための要素であり、イタリックはあくまで視覚的手段にすぎない。入れ子構造により強調の度合いを階層的に示せる点も特徴である。

イタリックと日本語の相性の悪さ

  1. 視認性の低下
    • 日本語フォントは斜体対応が乏しく、多くは疑似的な傾きで表現される。
    • 漢字仮名混じり文では斜体が判読性を損ないやすい。
  2. 文化的背景
    • 縦書き文化を背景に持つ日本語では、イタリックは馴染みが薄い。

適切な代替表現:圏点(傍点)

日本語で自然な強調手段として「圏点(傍点)」がある。

  • ルビのように語句の上または横に点を打つことで視覚的に注意を促す。
  • 意味論的には欧文のイタリックと同目的で機能するため、<em>のローカライズに適合する。

HTMLとCSSによる実装提案

HTMLでは、構造と意味を優先すべきであり、視覚的なスタイルはCSSに委ねるべきである。したがって、以下のようなアプローチが妥当である。

<em class="jp-emphasis">重要</em>
.jp-emphasis {
  font-style: normal;
  text-emphasis: dot filled;
}

これにより、構造的にはHTML仕様に準拠しつつ、日本語圏のユーザーにとって可読性の高い、文化的に適合した強調表現を提供できる。

dotかcircleか

text-emphasisプロパティには、dotcircleなど同じ丸い形状の強調が用意されている。どちらを使用するかは見た目や好み、文脈に依存するため一概にどちらを利用すべきかは言えないが、dot(点:)を使用することが多いだろう。circle(丸:)も視覚的に強調されるため、可視性で大きめの丸い形状の強調をしたい場合は選択肢となるだろう。

text-emphasis: "x";のようにstringを指定もできる。例えば、text-emphasis: "※";とすることで、特定の記号を強調表現として使用できる。

おわり

日本語サイトで<em>にイタリックを適用するのは可読性と文化的観点から最適でない。圏点による強調をCSSで実装することで、構造的意義を損なわず読みやすい表現を実現できる。

参考リンク