概要
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タグは、HTMLでテキストのフォントや色、サイズなどを指定するために使われていた。今ではすっかり見かけなくなったが、かつてはウェブページの装飾に欠かせない存在だった。
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タグは、HTMLでテキストのフォントや色、サイズなどを指定するために使われていた。今ではすっかり見かけなくなったが、かつてはウェブページの装飾に欠かせない存在だった。
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タグはHTML 3.2で登場した。Netscapeなどのブラウザが独自の装飾タグを競っていた時代で、見た目をHTMLで直接変えられるのが特徴だった。たとえば、<font size="3" color="red" face="Arial">テキスト</font>
のように書けば、好きな見た目にできた。
しかし、これはCSSが普及する以前の話である。HTMLは本来「構造」を定義するための言語であるが、<font>
タグは「見た目」を重視したプレゼンテーション要素であった。
コード例:
<font color="red" size="5">Hello World</font>
属性:
color
- : 色名または #RRGGBB 形式のカラーコードでテキストの色を指定します。
face
- : フォント名を 1 つ、またはカンマで区切って複数指定します。複数記述した場合は、表示可能なフォントの内で最初のものが優先されます。指定したフォントが全てローカルのシステム内にインストールされていない場合は、システムで設定されている等幅フォントかプロポーショナルフォントが適用されます。
size
- : フォントサイズとして、数値または相対値キーワードを指定します。数値の場合の範囲は
1
から7
で、1
が最小、3
が初期値となります。+2
、-3
の様に、初期値である3
を基準とする相対値で記述することも可能です。
デモ:
1997年にリリースされたHTML 4.0で、<font>
タグは「非推奨(deprecated)」とされた。その理由は、見た目の指定はCSSに委ねるという流れが本格化したためである。HTML 4.01でもこの方針は維持され、プレゼンテーション要素は徐々に使用されなくなっていった。
2014年に勧告されたHTML5では、<font>
タグは仕様から完全に廃止された。MDN Web Docsでも「この要素を使用してはいけません」と明記されている。現在のウェブ開発において、フォントや色の指定はCSSで行うのが一般的である。
バージョン | ステータス |
---|---|
HTML 3.2 | サポート |
HTML 4 | サポート |
HTML 4.01 | 非推奨(Transitional DOCTYPEのみ) |
HTML5 | 廃止 |
HTMLの進化に伴い、「構造はHTML、見た目はCSS」という役割分担が徹底された。CSSを使用することで、スタイルを一元管理でき、保守性も向上する。例えば、以下のようにCSSでスタイルを指定する。
foo {
font-family: Arial, sans-serif;
font-size: 16px;
color: red;
}
<font>
タグの役割はすべてCSSでカバーできる。
<font>
タグは、HTMLの初期バージョンで導入され、テキストのスタイルを制御するために使用されていた。しかし、HTML 4.0で非推奨となり、HTML5では完全に廃止された。もちろん、HTML Living Standardにおいても廃止されたままであった。
現在、ウェブ開発において<font>
タグを使用するべきではなく、CSSを用いてテキストのスタイルを制御することが推奨される。ブラウザが後方互換性のために<font>
タグを動作させているが、いつブラウザで利用できなくなるか分からないため、新規の開発では避けるべきである。