零弐壱蜂

目標を決めたのに、なぜタスクが腑に落ちないのか

タスクは何から決まるのか

目標を決めても、そこから直接タスクが出てくるわけではない。「読み込みを速くすれば離脱が減る」という因果の想定を経由して、はじめてやることが決まる。この想定が仮説であり、仮説が確からしくなければタスクも妥当ではない。

バグ修正やライブラリの更新は、目標を持ち出さなくても着手の理由が立つ。ただし、直すべきものが同時に複数あれば、どれを先にやるかを選ぶ理由はいる。

仮説を明示していなければ、そのタスクを選んだ理由を言葉にできない。手は動かせる。優先度を比べる根拠がない。それでも順番は決まる。決めるのは、声の大きい人の意見や締め切りの近さだ。

「UX向上」と書かれたタスク

明示すればよいわけではない。書き方によっては、明示していないのと変わらない。

説明欄に「UXが向上する」とだけ書かれたタスクを考える。仮説の形はしているが、何が起きたら外れと言えるのかが書かれていない。
リリース後にどの数字を見ても、向上したと言える。同じ数字で、足りないとも言える。外れの形を決められない仮説は、検証の対象にならない。

「検索結果の初期表示が2秒を切れば、その画面からの離脱が減る」と書いてあれば判定できる。2秒を切ったのに離脱が変わらなければ、その仮説は外れである。

この違いは優先度をつけるときにも表れる。外れの形が書かれていれば、2つのタスクを想定の確からしさで比べられる。書かれていなければ、どちらも「良くなるはず」としか言っていない。明示したと言えるのは、外れの形まで書いたときだ。

外れたと分かるのはいつか

明示していても、検証していなければ別の問題が起きる。タスクは仮説と整合しているので、進めている側には筋が通って見える。外れていたと分かるのは、リリースして指標を見た後だ。

CIの高速化やテストの整備のように、効果が遅れて表れるものは確かめにくい。その場合は、確かめる時期を着手のときに決めておく。

そもそも、1回当てれば済むなら、理由を説明できなくてもかまわない。次の一手を選び続けるなら、当たった理由がいる。当てずっぽうで金脈を掘り当てても、二本目の場所は分からない。

着手の前と結果の後

明示していなければ、着手の前に選べない。検証していなければ、結果が出た後に確かめられない。どちらも欠けたままなら、次の一手は前の一手と関係なく選ばれることになる。